ローマにあるビデオゲーム博物館「VIGAMUS」訪問記

 2012年にオープンしたばかりの新しい博物館。イタリア旅行の際に立ちよりました。日本語のガイドブックでは見かけないスポットですが、行ってみたら面白かったので紹介します。


 場所は、ヴァチカン美術館の最寄り駅「Ottaviano駅」から徒歩10分ほど。博物館の入り口は階段を降りた地下にあります。いちおう地上に看板は出ているけど、若干分かりにくいので、Googleマップを見ながら行くとよいでしょう。

 

 入り口では『バイオショック』のビックダディとリトルシスターや『トゥームレイダー』の像がお出迎え。壁には『NINJA GAIDEN』の板垣伴信氏の写真が飾られていました。
 館内は想像以上に広く、いくつかの展示室やシアタールーム、イベントスペース、オキュラスのVRゲームが遊べる部屋などがありました。

 
 館内には、プレイ可能なアーケード筐体やビデオゲーム、PCゲームがところ狭しと並んでおり、数十台はありました。せっかくなので幾つかプレイしてみたところ、『スペース・インベーダー』の意外と響く重低音に驚かされました。『ハングオン』は、バイクにまたがるタイプではなく、ハンドルだけのタイプがありました。

 
 
 
 ビデオゲームの歴史に関する展示も、解説パネルと陳列物がずらりと並び本格的。


 数年前に話題になった、ニューメキシコ州の砂漠から発掘されたアタリ関係の品々。ゲームコントローラーやカタログが、砂と共に展示されていました。

   
 奥にゲームクリエイターの肖像画が並ぶコーナーがあり、日本人では須田剛一氏、三上真司氏、小島秀夫氏、宮本茂氏の4名が飾られていました。海外で評価の高い人たちという印象。

  訪れた記念に、売店で現地のレトロゲーム雑誌数冊(VIGAMUSが編集に協力しているっぽい?)と博物館のロゴ入りキーホルダーを購入。店員が「キーホルダーはプレゼントするよ!」と、おまけしてくれました。
 カタコトの英語で「よい博物館ですね」「日本から来ました」と伝えたら、「僕もトーキョーに行ってみたいけど、旅費が高くてねえ……」と嘆いていました。面白い博物館なので、もっとたくさん観光客が訪れて、繁盛して、この人が旅費を得られたらいいなと思いました。

(2017年5月4日@VIGAMUS)

『ベルギー 奇想の系譜展』感想

 PVが楽しげで、怪奇趣味の絵画も面白そうだったので観に行った。

 会場は3つのエリアに分かれていて、「第1章 15~17世紀のフランドル美術」がいちばん奇妙で面白かった。フランドル地方のことをフランス語で「フランドル」、英語で「フランダース」というようだ。

 『フランダースの犬』で名前を聞いたことはあるが、実際に観るのは初めてのルーベンスの絵もあった。炎の剣で悪魔と戦う天使の絵など数点で、意外とそれにいちばん心惹かれた。フランドル美術初期の未熟でひょろっとした人体表現と違って、ルーベンスの絵は人体構造が正確で筋骨隆々としている。ダヴィンチなどのイタリアの画家が進化させた人体表現が取り入れられているらしい。天使が持つ「炎の剣」は微妙な小ささで、短剣という感じでもなく、密教法具の金剛杵(ヴァジュラ)のような握られ具合だった。

 展示の目玉であるボス派の絵画は、悪魔に誘惑される聖人のモチーフが多かった。絵に登場する怪物の発想が面白く、見たこともない形の生物も多くあったが、巨大な魚型の戦艦がかわいらしくていいなと思った。不気味なイメージが詰まっている感じは、日本の地獄絵に通じるものがあった。ただ、ボス派の怪物画にはほとんど流血描写が無い(人体に剣が刺さっている絵でも血が出ていない)。陰惨な地獄絵と違い、かわいらしくも受け取れる原因のひとつだろうと思った。血の赤は無いけど、絵の一角に、都市が炎上するイメージが必ず描かれていたので赤っぽさはあった。

(2017年7月15日@Bunkamura ザ・ミュージアム)

『ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日』第7話の移動シーン

 最近、まんだらけオークションで『ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日』第7話Aパート後半の絵コンテを購入した。僕が第7話で特に好きなのはBパートのほうで、そちらも以前に出品されたのだけど、その時は入札し忘れてしまった。今でも後悔している。

 さて、今回入手したパートで好きなシーンは、岩に半身埋まった「素晴らしきヒィッツカラルド」を「マスク・ザ・レッド」が始末したあと。歩み去るレッドと「直系の怒鬼」の姿がヒュッと消えて、次の瞬間、空に一筋の光が流れる。多分、2人が光速で次の戦場に向かったことを示す表現だと思う。5秒ほどの短いカットだけど、真空波をレッドが刀身ではね返し、ヒィッツカラルドの手が切り刻まれ、2人が去るまでの流れが1カットに巧みにまとまっている印象的な場面。なのだけど、絵コンテでは2人の姿が消える瞬間までしか描かれていなかった! では、あの格好いい、空に光が走る演出は誰の発想なのだろうか。疑問が湧いた。

 また、そもそもこのシーンは、映像本編ではAパートの後半ではなく、頭の方にある。つまり完成映像と絵コンテでは、若干シーンの並び順も違っているのだ。絵コンテでは、諸葛孔明と混世魔王樊瑞との会話シーンの間にこの場面が挿入されていた。

 そのような発見があったので、Bパートも含めて、第7話全体の絵コンテをいつか見てみたいなーと改めて思った。

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『アートたけし展』感想

 北野武の映画は好きだけど、彼の絵画には興味がないので、「もしかしたら映像関係の展示物もあるのかな?」ぐらいの気持ちで観に行った。会場が近かったし。結論から言えば、映画関係の展示はヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞、銀獅子賞のトロフィーぐらいだったけど、絵画も意外と面白かった。ちなみに、金獅子はリアルな造形で皮膚がザラザラした像、銀獅子はデザイン化されたツルツルした質感の像だった。

 会場に入ってまず驚いたのは、作品数が膨大なこと。絵画や版画が100点ある。しかも1点1点が大きい。本業を別に持っていて、それなりに多忙であろうに、よくもこんなにたくさん1人で描いたもんだなと。

 絵のタッチは、原色が散りばめられた鮮やかな色彩、影を描かないシンプルな塗り、平面的な構図、頭部が大きいデフォルメなど、小学生が描く絵に似ている。パースが変なものもある。だけど、題材は、歌舞伎やクラシックカーやアフリカの民族衣装など、小学生とは遠い世界から採られていて、間違いなく大人のもの。大人の絵だけど、描き方が大人じゃない。アウトサイダー・アートに近い存在だと思うけど、その手のものに付きものの、病的だったり精神の深い闇を感じさせたり……といった要素とは無縁で、思わず口元がほころぶ明るい絵、笑えるオチが付いている絵が多かった。電化製品をバラバラに分解して、部品をキャンバスに貼り付けただけの作品なども印象に残った。

 また、子供っぽい絵であっても、作者に関する知識があれば、それが無教養から発するものではないことが自ずと理解できるので、安心して「大人でもこういう風に描いてもいいのか」という気持ちになれた。絵に題名が無いのも異質で、いろいろと常識を揺さぶられる感覚が面白かった。

 ただ、絵そのものに独立した価値があるかは不明。作者が何者かを知っていて、その上で楽しむものであろう。

(2017年7月8日@浜松市立美術館)

Steam版『The Sexy Brutale(セクシー・ブルテイル)』感想


(開発元: Cavalier Game Studios(イギリス)、Tequila Works(スペイン) )
(★★★★☆/日本語版、コントローラー対応、クリアまで約7時間) 

【あらすじ】

英国のカジノ館「セクシー・ブルテイル」で起きた連続殺人事件。仮面舞踏会に招かれた客たちが、使用人の手で次々と惨殺されていく。現実から切り離された館内は、なぜか時間がループし、脱出不可能な状態。惨劇の12時間が何度も繰り返される中、目撃者となった牧師ラフカディオ・ブーンは、館の床から怪物のように出現した血まみれの少女に導かれ、事件の解決を試みる。

【感想】

昔プレイした『エルダースクロールズⅣ オブリビオン』で、ピッキングして貴族の館に侵入したら、平和な外観からは想像できない異様な気配がどんどん濃くなっていき、ついには最深部に吸血鬼が隠れ住む痕跡を見つけた事がある。どんな宝に出会った時よりも興奮した。館の暗い秘密を暴くシチュエーションは、どうしてこんなに心躍るのだろうか。

さて、『セクシー・ブルテイル』も館の秘密を暴くゲームである。本作には招待客(クセのある怪人物たち)の命を救うたびに、彼らから特殊な能力を授かるシステムがある。今まで聞こえなかった小さな物音を聞き取れるようになったり、幽霊の姿を認識できるようになったり。その力を駆使して、誰にも見つからないように、館の秘密のヴェールを少しずつ剥いでいく体験に夢中にさせられた。

また、ミステリの超常的な殺人は、探偵によって科学的に解明される印象があるが、本作は異常な状況から始まりながら、調査が進むに連れてオカルトの霧が晴れるどころか、逆に濃くなっていく点にも惹かれた。奇妙に設計されたこの館には、まだ見ていない部屋を見たい、全貌を知りたいと思わせる魔性の魅力があった。