『タイ ~仏の国の輝き~展』感想

 「タイの仏像」と聞くと、ほっそりした素朴な造形が思い浮かぶ。僕はどちらかと言うと、腕がたくさん生えていたり、不思議な衣装をまとった奇抜な像が好きなので、今回は「絶対に観たい!」というほどではなかった。ただ、コミケ上京で暇な時間があったのと、みうらじゅん氏による音声ガイドに興味があり、足を運んでみた2015年の『インドの仏展』の時の音声ガイドが面白かったから。

 結論から言うと、初めて知ることが多く、観に行ってよかった。音声ガイドも面白かった(ただ、みうらじゅん氏の喋っている本数は少なかった)。「素朴」程度に思っていたタイの仏像の姿について、音声ガイドで、卵型の顔、抽象的だがはりのある胴体、眉がつながっている等と説明され、なるほどと、特徴をつかむことができた。

 今回、特に印象に残った像は「観音菩薩立像」。上半身の表面が小さい仏の姿で埋め尽くされている。こんな装飾、見たことない! 図録の解説によると、こうした像は現在ではクメール美術でしか確認されていないというから、珍しいもののようだ。「タイ展」ではあるが、カンボジア(クメール王朝)由来の展示も多く、古代の東南アジアにおける同国の影響力の大きさも感じられた。

 あとは、「ナーガ上の仏陀座像」も良かった。とぐろを巻いたナーガの上に座った仏の像で、光背の代わりに7頭の蛇を背負っている。東南アジアの仏像ではよく見るタイプで、僕の好きな格好いい像。とても美しい状態で、周りを何周も回ってじっくり観た。

 本展は「タイ展」の名称通り、タイの歴史全体を紹介する展示となっており、仏像以外の展示物も充実していた。アユタヤのコーナーでは、仏塔の地下室に宝物が収められていた様子が紹介されていたが、そのような地下室の存在も初めて知り、ワクワクした。

(2017年8月12日@東京国立博物館)