週活001 『丑三つの村』

(※機長さんtatsu2さんの週刊の身辺雑記を真似して、僕も何か書くことにした。)

 Amazonプライムビデオに勧められて、『丑三つの村』を観た。題材が「津山事件」、プロデューサーは後に北野武映画を手掛ける奥山和由氏、監督は田中登氏(※『true tears』ファンには、乃絵がニワトリを連れ歩くイメージの元になった映画『(秘)色情めす市場』の監督として有名)。で、強烈そうだけど、見たことも聞いたこともないタイトルだったので、興味を惹かれて観たのである。

 舞台は戦時中の小さな村。村一番の秀才と呼ばれた青年が肺結核を患って徴兵検査に落ちる。生きる目標を見失い、病人として村八分に遭った末、大量殺人事件を起こし村人に復讐を果たす。

 『黙示録 映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄』によると、津山事件を描くにしても『八つ墓村』はフィクションだから良いけど、実話として映画化するのはマズいということで会社の許可が下りない。で、勝手に作り始めて、社長の意向も無視して完成させたそう。そのせいなのか何なのか、想像以上に尖った映画だった。
 そもそもの題材の過激さもあるんだけど、多治見要蔵を怪物的に描いた『八つ墓村』と違って、『丑三つの村』は殺人を犯す主人公の心情に寄り添ったストーリーで、そのスタンスもまた過激だと思った。閉鎖的な日本社会に対する主張が感じられる内容で、主人公が口にする「皆様方よ、今に見ておれでございますよ」は、プロデューサーの当時の心情にマッチするセリフだったそう。弱者が自分を追い詰めた社会に復讐する映画ではあるけど、じゃあ観たらスカッとするかと言うとそういう痛快な作りでもなく、異分子を許さない狭い社会の悲劇が描かれていると感じた。
 事件決行の夜に向けて、送電線を切って停電を起こす場面にゾッとしたのだけど、これも実話らしい。停電の闇の中、主人公が祖母の返り血を浴びながら「おばやん、俺を夜叉にしてくれえ! 鬼にしてくれえ!」と自分を奮い立たせる場面の異様な形相は、一度観たら忘れられない。Amazonプライムビデオよ、勧めてくれてありがとう。